社会人1年目

学習記録用ブログです。引用乱用ですので、興味がある方は引用先へどうぞ。

 物流業界の現状とその考察

論文を読んで、模写して、構造を砕いて、

論理的文章を書けるようになろうの2回目。

 

2018年2月
高千穂大学 学術レポジトリ
阿部 郁雄 著

https://takachiho.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=151&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

 

上記の論文を今日は読んでみました。

 

自分的要約

◎物流業界は人手不足、高齢化、長時間労働など課題が山積み

 ⇒決手法「SCM」

  従来:見込みによる生産・発注により在庫が過多

  ▽ SCMによるITを活用した企業間の情報共有

  今後:市場の販売動向に応じた生産が可能になる

     物流拠点が「保管する場所」から「流通加工に伴う場所」へ変化

 

3PLは「第三者目線から」「最適な手法を」「素早く柔軟に」解決できる

 最近の3PL事業者は金融サービスへも拡大している

 

◎都心と地方では配送ニーズが違う

 都心部:短時間配送

 地方郊外:店舗受取り

 

3Dプリンターが普及すれば工場ではなく現地で生産する時代がくる。

 そうすると在庫問題はなくなるが、同時に保管需要もなくなる。

 既にUPSは物流拠点に3Dプリンターを設置し店頭で生産するサービスを実施

 ⇒物流企業の製造業化が進んでいく

 

◎情報を中心としたチャネルというものを改めて再構築していくことが必要

 

 ・売上データと消費データの統合

 ・コスト構造の変化

 ・チャネル構造の変化

   ▽

 SMCと生産が変化

   ▽

 流通と生産の統合による「最適生産」「最適販売」「最適物流」へ

 

◎物流業界に新たにIT業界、流通業界、製造業界などの参入し、

 従来の物流業界に大きな変化が起こるだろう。

 

 

構造読解

<要旨>――――――――――――――――

■何をしたか

 本研究は物流業界が今後どのように変化していくかの考察をおこなうにあたり、15年前に西濃運輸の社長であった田口義嘉壽の著作によりこれまでの業界としての方向を整理し、次に現在の状況について各種の資料の整理を行った。

■主題

 その上で今後の物流業界がどのように変化していくかの考察をおこなった。

 

<本文>――――――――――――――――――

①はじめに

■主張
 物流業界は旧態依然とした業界と思われているがダイナミックに変化している。

■例
 例えば、2017年4月にはグローバル化を目指した日本郵政によるトール・ホールディングスの買収の一方で、ネット通販などの売上の拡大による人材不足からくる高齢化、それにともなうトラックなどのドライバーの長時間残業など、現状は国内外含めて多くの課題を抱えている。

■何をしたか
 そこで、本研究では過去と現在を振り返り、あらためて整理を行い、今後どのように変化していくかを試論的考察することで新たな検討課題を見出した。


②2002年の物流業界を取り巻く環境

■引用
 当時の西濃運輸株式会社社長の義嘉壽らによると、

 1)長引く不況や、業者間のコスト競争による収益の悪化

 2)高度な物流サービスの要請

 3)ビジネスのグローバル化に伴う、競争のグローバル化

 4)物流会社が取るべき姿勢は荷主企業が抱える経営課題に常に

    関心を持つこと

 5)その解決に向けて、何ができるのかを考えること

 6)顧客第一主義に徹して、その考えを提案、実行すること

 だとしている。

■引用の説明
 この業界として特徴は例えば荷物を移動するということから言えることは、業務が無形性であるということである。ここでの課題は一つには物流がサービス化しているということである。そして、後段の4から6.の課題は顧客の課題を見つけ、提案し実行するという、顧客との関係を重視していることである。そして、これらの課題は物流業界に限った課題ではなく、多くの企業が抱えている課題でもある。 

■物流企業の進むべき方向(2002年)
 そして、田口らは荷主企業の新しいビジネス要件や変化に、確実に応える能力と体制を整え、例えば、輸送や保管などの物流基本業務を請け負うだけでなく、顧客アフターサービスの代行、ロジスティクス計画の立案、システムの企画・開発、代金回収、物流管理などを指摘している。また、3PL(Third Party Logistics)や物流コンソーシアムといった新しい物流サービスの形態や体勢が、統合機能の役割を果たすと考えられ、その結果業務提携を盛んにおこない、自社が苦手とする部分を補い、顧客へは従来通り総合企業という位置づけを保ち続けることもしばしば見られるであろうとし、これからのe-ビジネス社会では、さまざまなバーチャル・コーポレーション(仮想企業)が出現するものと予想される、としている。

■2017年現在
 実際、現在までにこれらのことの多くは実現されている。今後有力な運送業者では、一層情報化が進み配達先でのリアルな貨物追跡情報の更新が一般的になるものとみられ、そして、貨物追跡情報から得られる価値を活用し、サービスをより強固にするケースが見られるようになるであろう、としている。

■例(2002年)

 その代表的な例として、「エクスローサービス」をあげている。エクスローサービスとは、購入した商品の代金を第三者機関が買い手より一時預かり、買い手が商品を受け取ったことを確認した後に、第三者機関が売り手に商品代金を支払うサービスである。
 ここで、運送業者にとって重要なのは「買い手が商品を受け取ったことを確認した後に」という点である。この行為を実証することが、運送業者の役割である、としている。今では当たり前のことであるが、サービス化の顕著な例だ。

■SCM実現課題
 そして、サプライチェーン・マネージメントの実現に向けて、企業間の壁を取り除くには、以下のようなことが必要だとしている。

―生産/販売/在庫情報の共有化―
・協業の下での実需要の把握と需要の予測
・取引き業務の標準化
・物流構造の改革
一気通貫の物流改革
・共通管理指標の策定

 サプライチェーンを構成する企業が企業の枠を超えて業務の効率化をするためには、企業間でタイムリーの情報を共有し、連携して業務を遂行するコラボレーションをどうしても必要になる、としている。

■例
 これなどはトヨタが進めている JUST in TIME には必要不可欠な要素であることは言うまでもない。 

運送業とは
 運送業ロジスティクス事業はどう違うのか。一言で言えば、貨物を管理単位がパッケージ、梱包箱からアイテム、品目へ変わるということである、としている。

■SCMで変わったこと
 大手企業を中心にSCMが浸透する中で、流通過程にある在庫の圧縮がかってなく重要視されるようになっている。このような中で、物流拠点は従来の保管を担う場所というよりは、クロスドッキング(Closs Docking)一時預かり、あるいは流通加工に担う場所としての意味を持つようになった、としている。これも非常に重要な課題である。これにより顧客の余計な貨物移動などによるコスト削減が減ることになる。

■重要なこと

 そして、重要なことは情報で原材料から消費者をつなぐということである。これにより、商品のトレーサビリティーも可能になり市場の動向に合わせた生産活動を目指すことが可能となる。

■例

 WMS(Warehouse Management System 物流センター管理システム)などのパッケージソフトウェアを活用した、新しい物流システムの構築により、効率的な物流オペレーションを実施している。

3PLとは

 3PLサービスが単なる物流業務のアウトソーシングと大きく異なるところは、荷主企業に対し、物流サービスを提供するにあたり、

 ・車両や施設、倉庫設備など自社資産の活用にとらわれないこと

 ・荷主企業の物流業務最適化を最優先課題として捉えること

 ・それを実現するために、「計画」、「管理」、「実行」までを含む

  広範囲のロジステックスを第三者に委ねること

 荷主企業にとってのコスト削減とは、

 ・物流部門の人員が削減できる

 ・資産を3PL業者に肩代わりさせることにより、

  物流の変化に柔軟な対応ができる

 ・輸送区間、ロット、時間における最適輸送機関の提示を得られる

 物流システムの改善とは

 ・在庫配置・水準の見直し

 ・輸送配置の見直し

 ・サービスレベルの見直し

 ・情報システムの見直し

 としている。

■物流から金融サービスへの拡大(2002年)

 続いて流通サービスにとどまらず、流通過程そのものをアウトソーシングサービスが登場している。荷主企業の受発注業務、代金決済、輸入手続き代行、在庫の買取や保険など言わば、金融サービスへの拡大である。3PL業者による自動車部品の在庫の買取や船舶用補修部品の買取など、と述べている。

■例(2017年)

 現在でも企業支援の流れは存在し、三菱商事西濃運輸、物流サービスで提携、共同で新会社――企業の効率化支援を行うという記事がある。それは、両社は共同出資会社を設立し、企業から物流戦略の立案、情報システムの開発、実際の輸送までを幅広く受託する。総合商社と運送大手の提携は初めてであり、折半出資会社の「ロジウェル」(東京・中央、西田純隆社長)を設立した。電子商取引業者にネット上で物流の手配や決済が可能なシステムを構築したり、衛星利用の貨物追跡システムを導入したサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の開発・運用を受託。三菱商事筆頭株主のローソンの店舗を商品引き取り、代金支払いの拠点とする物流網作りもできるという、というより大きな規模での取り組みへと進化している。


③直近の変化(2017年前後の変化)

■例①

 明日来るとヤフーが共同運営するインターネット通販「LOHACO(ロハコ)」がBtoCの自社配送に乗り出す。2017年8月末に「Happy On Time」の名付けた新サービスを開始するのに併せ、対象エリアの配達を大手宅配会社から物流子会社のアスクルロジスト(旧Bizexを5月に社名変更)に切り替えがおこなわれる。

■例①のサービス説明

 新サービスの配達スピードは従来と同様の最短当日だが、荷物が届くのを“待たせない幸せ”を実現する。到着予定時間を30分刻みで事前に通知する。利用者は到着予定時間の1時間前から配送するドライバーの現在位置をアプリもしくはサイト上の地図で確認できる。到着の10分前にも最終通知がアプリに届く。

 当初の対象エリアは東京都内の5区(千代田区中央区、港区、江東区、世田谷区)と大阪市内の3区(北区、福島区此花区)としているが順次拡大していくことだろう。また、アスクルが通販センター作業の完全自動化を実現した。ロボットソフトウェア開発のMUJIN(東京)と業務提携を結び、多様な形状の商品のピースピッキングと箱詰めの方法をロボットが自分で判断して処理する仕組みを開発した。

 投資は1年半で回収できる見込みだという。まずはロボット2台を基幹センター「ASKUL Logi PARK 首都圏」(埼玉)に導入した。関西への導入も決まっており、他の拠点への順次導入を進めていく計画だ、としている。これは人手不足からくる省力化への流れでもある。

■例②

 一方で流通も大きく変化している。その一つの流れであるオムニチャネルの動向については、英国では2008年創業の物流ベンチャー、ドロップ・アンド・コレクト社が国内各地の約5,800ヵ所のローカル小売店を荷物の受け渡し場所として組織化した「Collect Plus」を定着させることに成功した。

■例③

 また、テスコはマイカー通勤者向けにドライブスルー型の店舗受取りを充実させている。米国ではオンラインで購入して店舗で受け取れる「BOPOS(Buy Online Pick up Store)」を前提に、チェーンストアが店舗のフォーマットや店頭の品ぞろえ、在庫の配置を構築する動きが進んでいる。

■考察

 短時間配送の対象となっているのは都心部で、郊外では店舗受取りの方がニーズが大きい、これらの取り組みを見ていると、日本でも車を中心として生活している地域でのオムニチャネルの取り組みの参考になるだろう。

■例④

 日本では、2015年、ローソンとSGホールディングスは共同出資でSGローソンを設立した。コンビニエンスストアーと宅配会社が手を組み、コンビニ店舗を物流拠点と位置付けた新たなラストワンマイルの構築を進めている。コンビニエンスストアと宅配会社が手を組み、コンビニ店舗を物流拠点と位置付けた新たなラストワンマイルの構築を進めている、これも人々の生活を考えると近所のコンビニにものを取りにいくことに抵抗感を持つ人は少ないだろう。だが、コンビニのバックヤードの狭さが課題であるという指摘もあり、今後の課題の一つになるだろう。

■企業の動き①

 その佐川急便だが、佐川急便と日立物流が2016年3月末に両社が将来の経営統合に向けた資本提携も発表した。当初は、日本郵便の影響を指摘する声が多かった。いずれも日本郵便の買収先候補として名前が挙がっていた。日本郵便と佐川急便の宅配便事業を統合すれば市場シェアはヤマト運輸と並ぶ。そこにサード・パーティ・ロジスティクス3PL)の日立物流が加われば売り上げ規模は4兆円を超え、総合物流企業として世界市場でドイツポストDHL、米UPS、米フェデラルエクスプレスの3強に次ぐポジションを得ることができる、というようにグローバルな視点も重要だ。

■企業の動き②

 また、宅配便世界最大手の米UPSが製造業に本格的に進出する。2016年末、シンガポールの既存物流施設内に、同社が出資する3D印刷ベンチャーの米ファスト・ラディウス社の工場を新設した。インターネット経由で生産委託を受けた製品をその日のうちに生産し、国際宅配便のネットワークに乗せて、アジアの主要都市に翌日配達する。欧州ソフトウェア最大手の独SAPがITパートナーとしてその情報プラットフォームを提供している。

■企業の動き②のサービス説明

 UPSはこれまで北米約4,600ヵ所にフランチャイズ展開するビジネスサポート「The UPS Store」の60ヵ所に3Dプリンターを設置し、プラスチック製の試作品やアクセサリーなどを店頭で生産するサービスを主に中小企業や個人向けに提供してきた。そのサービスを物流ネットワークと接続し、宅配便ターミナルに高度な3D印刷機能を付加することで、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)をはじめとする本格的なビジネスニーズに対応するとしている。

3Dプリンターの可能性

 そして、3Dプリンターの普及は、サプライチェーンのデザインを大きく塗り替えることになると考えられている。消費地3Dプリンターを設置して実需に応じて生産することで、完成品や部品の在庫は不要になる。陳腐化リスクの少ない素材は半製品の状態で在庫を保有して、まとまったロットで国際運送できるようになる。地産地消が進み、ロジスティクスの負担は大幅に軽減される。荷主企業にとっては朗報だが、物流企業は輸送は保管の需要を失う。

■企業の動き②の理由

 そこでUPSは製造プロセスに事業領域を広げる。3D印刷サービスを新たな収益源と位置づけ、その利用を促進することで脅威をチャンスに変えようという戦略だ。総合物流最大手の独DHLも2016年11月に「3D印刷とサプライチェーンの未来」と題したリポートを発表し、3Dプリンター使った新しいサプライチェーンを荷主と共同開発していく方針を表明している。

■物流業と製造業

 物流企業の製造業化が進む、と記事は伝えるように、新たな技術革新により企業の壁を取り崩し、その企業の本質は何かということを問われる時代になった。それは製造業ならば、設計し、そこで3Dプリンターで製造された製品の品質を担保するというように変化する可能性が高い。

■企業の動き③

 そして、大手以外の中堅企業でも生き残りをかけている。例えばカンダホールディングス(勝又一俊社長、東京)と高末(加藤博巳社長、名古屋)、東部ネットワーク(芦原一義社長、横浜)、ヒガシトゥエンティワン(金森滋美社長、大阪)の4社は2016年2月16日、包括的業務提携を締結したと発表した。4社による企業グループの名称を「日本物流ネットワーク協力会」(JLNA)とし、大手企業に対抗する全国的な物流ネットワークを構築するため、各地域からの物流企業の参加を呼び掛けていくという。その業務提携の内容は

(1)施設・車両・営業情報の共有

(2)営業案件のグループ内消化

(3)物流システムの相互利用、共同開発

(4)燃料の共同購入、給油施設の共同利用

(5)新規プロジェクトにおける共同開拓

としているが、カンダホールディングスの勝又社長は「当面は穏やかな連携で進め、互いに『しばり』は設けない。それぞれの会社の自主性、独立性を優先する」と述べた。4社の売上高合計は790億円と大きな金額である。

■ネット通販の影響

 我々の生活の変化の象徴でもあるネット通販での購入により、2014年のネット通販市場は05年に比べ3.7倍の12兆8000億円に、それを支える宅配便も同2割増しの36億個に成した。

■業界課題

 互いに不可欠でありながら、裏側ではひずみも生まれている。

■原因①

 それは全産業の平均に比べ、トラック業界の月間労働時間は42時間も長い。特に、長距離トラックでは一運行当たり平均で16時間40分も拘束されている。この長時間労働と、15年前に比べ1割落ちた月額30万4000円という賃金水準が、深刻な人手不足を招いている。

■原因②

 また、2007年に普通免許で乗れるトラックの大きさが制限された影響も大きい。高卒新人が即戦力にならず、採用は中途に偏った。若手が空洞化し、運転手の7割は40歳以上が占める。全日本トラック協会(全ト協)の調査には、7割の会社が「人手不足」と回答。このまま高齢化が進めばさらに追い込まれるという事態も起きている。

■AIへの期待

 人口知能(AI)の開発レースで戦闘集団の一角を占める米マイクロソフトが今夏に公表した独自の開発原則が注目されている。人間の「置き換え」ではなく「能力の拡張」を目指す立場を鮮明にし、開発企業としての説明責任の明確化やプライバシーの保護、偏見の排除などを掲げたように従来とは異なった分野からの技術の応用により、新たなサービスが生まれ、そして発展する技術も次々と生まれている。


④考察

■新しい技術

 テクノロジーの変化という視点で整理してみると、ドローン、3Dプリンター、自動運転、人手不足を補うための作業補助ツール(アシストロボット)などテクノロジーの進化があり、そして業界の垣根の崩壊、サプライチェーンでのデータの共有化と活用、ドイツ・アメリカ、ドイツ・日本はIoT技術での連携すなわち、情報のプラットフォームの連携などが起こりつつある。

■技術の変遷による仮説

  また、第4次産業との対比を意識したローランドベルガーの小野塚は物流の変化を図のように示している。

 これを整理するために、ひとつの手段として情報の影響~デコンストラクション説をもとに考えたい。

デコンストラクションとは

 デコンストラクションとは、従来の事業構造を分解し、再構築することである。これは二つの要因から生じる。一つは情報の経済原理とモノの経済原理との分離であり、もう一つは(情報の経済原理の枠内での)リッチネス/リーチというトレードオフの消滅である。

 従来の事業構造にはバリューチェーンサプライチェーン、組織、消費者インターフェースが含まれていた。リッチネス/リーチというトレードオフが消滅してしまうと、もはや事業構造においてこうした部分を統合しておく必要はなくなってしまう。

 情報の新しい経済原理の下では、こうした構造はすべて粉々に砕かれてしまう。そしてその破片は別々に分離された情報の経済原理とモノの経済原理のそれぞれに基づいて、再び寄せ集められ新たな事業構造を作る、という説である。

■物流業界の現状の核心

 まさに現在、物流業界で起こっていることはこのデコンストラクションであるといえるだろう。ではそれをより効果的に運用するにはどのようなことが考えられるだろうか?

■やるべきこと

 情報を中心としたチャネルというものを改めて再構築していくことが必要となる。そこでチャネル・ショップスチュワードという考え方がある。「チャネル・スチュワードシップ」とは、簡単に言えば、流通チャネル参加者のうち、誰か一人がリーダーとなってチャンネル戦略を作り上げ、顧客にとって最もよいことを行い、同時に、チャネルパートナー全員が利益を享受できるようにすることである。このリーダーのことを「スチュワード」と呼ぶ。チャネル・スチュワードの役割は、製造業者、組み立て加工業者、サービス提供会社、中間業者など、顧客のバリューチェーンに参加する、誰でも狙うことができる。企業内においては、CEO、経営幹部、あるいは上級管理職のグループがその任を担うのがふさわしい、としているが、一歩進めて考えると、今後は再構築をする人もしくはグループになるのだろう。

■今後の展開

 その上で以下の図のように売り上げデータと消費データの統合、コスト構造の変化、チャネル構造の変化が起こり、サプライチェーン・マネジメントと生産方式なども大きく変化することが考えられる。そして、最適生産、最適販売、最適物流が必要となる。その場合には新たな企業間の連携や再構築が起こると考えられる。

 そして、図のように物流業界ではIT業界、流通業界、製造業界などが大きく変容して異なった業界からの企業の参入が考えられ、今後は大きな変化を迎え、従来の物流業界と言われる形とは異なった業態になると考えらえる。